ファイルの縮小表示で縮小版 (サムネイル) をキャッシュしない
基本情報
- 設定項目名
- ファイルの縮小表示で縮小版 (サムネイル) をキャッシュしない
- カテゴリ
- エクスプローラー
- 対応プラットフォーム
- Windows XP, Vista, 7, Server 2003 (R2), Server 2008, Server 2008 R2
- 搭載バージョン
- Win高速化 version 1.1
- 設定不可となる条件
- Vista 以降の Windows (Vista, 7 など) で縮小版の表示が無効 (アイコン表示) になっている
※ このページは Windows 高速化ツール Win高速化 に搭載されている設定項目の解説文になります。この設定項目を利用するには Win高速化 のインストールが必要となります。
概要
ファイルを縮小表示する際に縮小版をキャッシュしないようにします。意図せずにフォルダー内にキャッシュファイル (Thumbs.db) が生成されていた、といった不都合が解消されます。
詳細
Windows エクスプローラーでは、ファイル一覧を縮小版 (サムネイル) と呼ばれるファイル内容が縮小された画像で表示することができます。ファイルを縮小版で表示 (縮小表示) することで、ファイルを実際に開くことなく内容を把握できるため、複数のファイルから開きたいファイルを探しているときなどに役立ちます。縮小版で表示されるファイル形式には画像ファイルや動画ファイル、ドキュメントファイルなどがあり、具体的には Windows の種類やインストールされているアプリケーションなどによって異なります。
エクスプローラーはファイルの縮小表示を高速に行うため、自動的に縮小版の画像をキャッシュします。たとえば一部の環境 (Windows XP やネットワークフォルダー参照時の Windows Vista, 7 など) では、ファイルのあるフォルダー内にキャッシュファイル (Thumbs.db) を生成します。ですがシステムファイルであるキャッシュファイル (Thumbs.db) はデフォルトでは表示されないため、フォルダー内にキャッシュファイルがあることに気づきにくく、意図せずに次のような状況になる可能性があります。
- フォルダー圧縮時にキャッシュファイルが含まれる
- キャッシュファイルがネットワーク共有またはインターネットで公開される
- CD/DVD や USB メモリなどのメディアにキャッシュファイルが書き込まれる
- キャッシュファイルが使用中のためフォルダーを削除できない
この設定を有効にすると、ファイルを縮小表示する際に縮小版をキャッシュしないようになります。キャッシュファイル (Thumbs.db) が生成されていた環境では、縮小表示のフォルダーアクセス時にキャッシュファイルを生成/更新する処理がなくなるため、意図せずにキャッシュファイルが生成される状況が避けられます。
※ この設定を有効にして縮小版のキャッシュを無効化すると、ファイルを縮小表示するたびに縮小版の画像を生成することになります。そのためフォルダー内のファイル数が多い場合やファイルサイズが大きい場合は、フォルダーアクセス時のパフォーマンス低下につながります。キャッシュファイルの生成に不都合がないようであれば、設定を無効にしておくことを推奨します。
※ この設定を有効にしても生成済みのキャッシュファイルは削除されません。ファイルを縮小表示する際にも使用されない不要なデータのため、なるべく手動で削除しておいたほうがよいでしょう。
※ ファイルの縮小表示は Windows 98 で導入され、縮小版をキャッシュする仕組みは Windows Me, 2000 で導入されました。また Windows XP ではキャッシュの無効化に、Windows Vista では縮小版表示の無効化 (アイコン表示) に対応しました。ただ Windows XP ではフォルダオプションからキャッシュを無効化できますが、Windows Vista, 7 ではグループポリシーやこの設定項目を利用する必要があります。詳細は縮小版 (サムネイル) のキャッシュや縮小版 (サムネイル) のキャッシュ無効化を参照してください。
※ ファイルの読み取り権限がない場合であっても、キャッシュファイル (Thumbs.db) は読み取り可能になっている場合がよくあります。そのため Microsoft はセキュリティ上の観点から企業の共有コンピューターなどでは縮小版のキャッシュを無効化することを推奨しています。
ファイルの縮小表示
ファイルを縮小表示する方法は Windows の種類に応じて次のように異なります。
Windows Vista, Server 2008, 7, Server 2008 R2
エクスプローラーのツールバーにある [表示] ボタン隣の矢印ボタンをクリックします。
矢印ボタンをクリックすると次のようなメニューが表示されます。特定の表示の種類をクリックするか任意の位置にスライダーを移動させます。
※ 矢印ボタンではなく [表示] ボタンをクリックすると、表示の種類が順番に切り替わります。
参考リンク
Windows XP, Server 2003 (R2)
エクスプローラの [表示] メニューから [縮小版] / [写真] をクリックします。
またはエクスプローラのツールバーにある [表示] ボタンをクリックして [縮小版] / [写真] をクリックします。
参考リンク
Windows 2000
エクスプローラの [表示] メニューまたはツールバーの [表示] ボタンから [縮小版] をクリックします。
Windows Me
エクスプローラの [表示] メニューまたはツールバーの [表示] ボタンから [縮小表示] をクリックします。
Windows 98, 98 SE
- 縮小表示したいフォルダを右クリック – [プロパティ] をクリック
- [縮小表示を使用] をチェックして [OK] ボタンをクリック
- フォルダを開き [表示] メニューまたはツールバーの [表示] ボタンから [縮小版] を選択
参考リンク
縮小版 (サムネイル) のキャッシュ
Windows エクスプローラーはファイルを縮小表示した場合に縮小版 (サムネイル) をキャッシュします。ファイルが縮小表示される (縮小版がキャッシュされる) フォルダーの表示形式は Windows の種類に応じて次のように異なります。
Windows | 縮小版がキャッシュされる表示形式 |
---|---|
Windows 7, Server 2008 R2 | 特大アイコン、大アイコン、中アイコン、並べて表示、コンテンツ |
Windows Vista, Server 2008 | 特大アイコン、大アイコン、中アイコン、並べて表示 |
Windows XP, Server 2003 (R2) | 縮小版、写真 |
Windows Me | 縮小表示 |
Windows 98, 98 SE, 2000 | 縮小版 |
※ エクスプローラーの [表示] メニューや右クリックメニューから [最新の情報に更新] を行うと強制的にキャッシュが更新されます。
縮小表示および縮小版のキャッシュへの対応状況
Windows の種類ごとに縮小表示や縮小版のキャッシュへの対応状況を表にまとめると次のようになります。
Windows | 縮小表示 | キャッシュ | キャッシュファイル | キャッシュ生成先 | キャッシュ無効化 |
---|---|---|---|---|---|
Windows 95 | × | ― | ― | ― | ― |
Windows 98, 98 SE | ○ | × | ― | ― | ― |
Windows Me | ○ | ○ | Thumbs.db | ファイルのあるローカル/ネットワークフォルダ | × |
Windows 2000 (FAT) | ○ | ○ | Thumbs.db | ファイルのあるローカル/ネットワークフォルダ | × |
Windows 2000 (NTFS) | ○ | ○ | ― | NTFS 代替データストリーム (ローカル) | × |
Thumbs.db | ファイルのあるネットワークフォルダ | ||||
Windows XP, Server 2003 (R2) | ○ | ○ (ローカルのみ) |
Thumbs.db | ファイルのあるローカルフォルダ | ○ |
Windows Vista, Server 2008 | ○ | ○ | thumbcache_*.db | キャッシュフォルダ (LocalAppData) | △ |
Thumbs.db | ファイルのあるネットワークフォルダ | ||||
Windows 7, Server 2008 R2 | ○ | ○ | thumbcache_*.db | キャッシュフォルダー (LocalAppData) | △ |
Thumbs.db | ファイルのあるネットワークフォルダー |
※ ファイルのあるフォルダー内に Thumbs.db ファイルを生成する仕様は問題視されることが多かったため、Vista 以降の Windows (Vista, 7 など) では LocalAppData 下のキャッシュフォルダーにキャッシュするよう改善されました。ですがネットワークフォルダーを縮小表示した場合は依然としてフォルダー内に Thumbs.db ファイルが生成されます。
thumbcache_*.db ファイル
thumbcache_*.db ファイルは LocalAppData 下のキャッシュフォルダー (%LOCALAPPDATA%\Microsoft\Windows\Explorer) にあります。キャッシュされたデータは縮小版のサイズ (32, 95, 256) に対応するファイルに追加されます。
※ %LOCALAPPDATA% は C:\Users\[User]\AppData\Local といったパスに展開されます。AppData フォルダーは隠しファイルのためデフォルトでは表示されません。
※ thumbcache_*.db ファイルは (たとえ縮小表示やそのキャッシュを無効化しても) 常にエクスプローラーによって使用されているため削除することができません。キャッシュされたデータを削除するにはディスククリーンアップを使用する必要があります。
Thumbs.db ファイル
ファイルのあるフォルダー内に Thumbs.db ファイルが生成されます。Thumbs.db ファイルは削除しても必要に応じて再生成されます。
※ Thumbs.db ファイルはシステムファイルのためデフォルトでは表示されません。Thumbs.db ファイルを表示するには以下の操作を行います。
- エクスプローラの [ツール] メニュー – [フォルダ オプション] を選択
- [表示] タブ – [すべてのファイルとフォルダを表示する] を選択
- [保護されたオペレーティング システム ファイルを表示しない (推奨)] のチェックをはずす
- [警告] ダイアログが表示されるので [はい] ボタンをクリック
- [OK] ボタンをクリック
縮小版 (サムネイル) のキャッシュ無効化
Windows の種類ごとに縮小版 (サムネイル) のキャッシュ無効化への対応状況を表にまとめると次のようになります。
Windows | キャッシュ無効化 | フォルダーオプション | グループポリシー |
---|---|---|---|
Windows Me, 2000 | × | ― | ― |
Windows XP, Server 2003 (R2) | ○ | ○ | ○ |
Windows Vista, Server 2008 | ○ | △ (アイコン表示) | ○ |
Windows 7, Server 2008 R2 | ○ | △ (アイコン表示) | ○ |
Windows Vista, Server 2008, 7, Server 2008 R2
ファイルを縮小表示した際に縮小版ではなくアイコンを表示するように設定すると、結果的に縮小版はキャッシュされません。
- エクスプローラーの [ツール] メニュー – [フォルダー オプション] – [表示] タブ
- [詳細設定] 欄の [常にアイコンを表示し、縮小版は表示しない] をチェック
- [OK] ボタンをクリック
※ 縮小版での表示を有効にしたままキャッシュを無効化する場合は、以下のグループポリシー設定を有効にします。
- ユーザーの構成 – 管理用テンプレート – Windows コンポーネント – エクスプローラー – 縮小表示の画像のキャッシュをオフにする
Windows XP, Server 2003 (R2)
フォルダオプションから縮小版のキャッシュを無効化することができます。
- エクスプローラーの [ツール] メニュー – [フォルダ オプション] – [表示] タブ
- [詳細設定] 欄の [縮小版をキャッシュしない] をチェック
- [OK] ボタンをクリック
※ 同等の設定をグループポリシーで行う場合は、以下のグループポリシー設定を有効にします。
- ユーザーの構成 – 管理用テンプレート – Windows コンポーネント – エクスプローラ – 縮小表示の画像のキャッシュをオフにする
トラブルシューティング
ファイルの縮小表示や縮小版のキャッシュに関する主なトラブルとその対処法を紹介します。
- ファイルを縮小表示できない
-
Thumbs.db ファイルの破損が原因のためフォルダー内の Thumbs.db ファイルを削除する。Thumbs.db ファイルは自動的に再生成されるため削除しても問題はない。
- ファイルが縮小版で表示されない
-
アプリケーションのインストール (アンインストール) によってファイルの関連付けが変更されたことが原因。アプリケーションの再インストールなどを行いファイルの関連付けを修正する。
- 一部のファイルの種類で縮小表示ができない (Windows 98)
- エクスプローラで JPEG ファイルの縮小表示ができない場合 (Windows Me, 2000, XP)
- 縮小表示で特定の .jpg ファイルが正しく表示されない
- [NT] 縮小画像を表示できない (Windows 2000)
- Windows XP Service Pack をインストールすると、縮小表示で Web コンテンツ ファイルが表示されない
- ファイルの縮小版が更新されない
-
縮小版のキャッシュが更新されていないことが原因。エクスプローラーの [表示] メニューや右クリックメニューから [最新の情報に更新] を行い強制的にキャッシュを更新する。あるいは Vista 以降の Windows (Vista, 7 など) であればディスククリーンアップで [縮小表示] を選択してキャッシュを削除する。
参考リンク
- Windows 7 ヘルプ | 縮小表示のサイズとファイルの詳細を変更する
- Windows Vista ヘルプ | 縮小表示のサイズとファイルの詳細を変更する
- フォルダの表示形式を変更するには (Windows XP)
- エクスプローラの表示方法を変更してみよう (Windows XP)
- エクスプローラでフォルダ内のファイルを縮小表示させるには (Windows 98)
- エクスプローラでフォルダ内のファイルを縮小表示する方法 (Windows 98)
- Windows thumbnail cache – Wikipedia (英語)
- Indexing service adds data streams to image files (Windows 2000, 英語)