• コラム:Breadcrumb NavXT や WP-PageNavi などの日本語版を公開しているサイトが日本語化を謳 (うた) っていたと思ったらいつのまにか騙 (かた) っていた件

    目次

    概要

    先日投稿したまとめ:おすすめの WordPress プラグイン (19 個) という記事で紹介した Breadcrumb NavXT プラグイン。WordPress でパンくずリストを表示するならまず一番に名前の挙がる有名なプラグインだと思う。

    その日本語化を謳う Breadcrumb NavXT 日本語版がただの改悪バージョンということが判明。不適切な翻訳を修正とか日本語環境で発生する問題を修正とかなら分かるけど、実際は逆で本家の翻訳のほうがはるかに適切だった。多くの Web サイトが Breadcrumb NavXT 日本語版を紹介しているだけに大変残念に思う。

    追記:改悪プラグイン配布サイトが閉鎖された模様

    Breadcrumb NavXT 日本語版などの改悪プラグインを配布していた naviwave.com がいつの間にか閉鎖されていました。作者本人も問題を自覚していたってことでしょうか…。(11月22日確認)

    データベースの破損が原因とのことだが改悪プラグインを再掲載しないあたり、やっぱり確信犯 (故意犯) だった感は否めない。

    経緯など

    まず前提として Breadcrumb NavXT 3.6.0 以降は標準で日本語化されているので、別途日本語化を行う必要は全くない。しかしそれにも関わらず naviwave.com というサイトが Breadcrumb NavXT 日本語版を公開していて、3.6.0 以降のバージョンアップにも精力的に追従 (?) させている。この流れを時系列で見ると次のようになる。

    日付 Breadcrumb NavXT Breadcrumb NavXT 日本語版
    2010-08-23 3.6.0 公開 (標準で日本語化) (日本語化は不要になる)
    2010-09-14 3.6.0 日本語版 配布開始
    2010-12-03 3.7.0 公開 (日本語ファイル更新)
    2011-02-21 3.8.0 公開 (日本語ファイル更新)
    2011-02-23 3.8.0 日本語版 配布開始
    2011-02-25 3.8.1 公開
    2011-02-27 3.8.1 日本語版 配布開始
    2011-05-31 3.9.0 公開
    2011-06-06 3.9.0 日本語版 配布開始

    上記の表を見ると Breadcrumb NavXT の日本語化が不要になってからも、本家がバージョンアップすると続くように日本語版もバージョンアップしていることが分かる。本家より常に新しい日付の日本語版が存在するためか、Breadcrumb NavXT を紹介する多くのサイトが日本語版を勧めている。その結果 “Breadcrumb NavXT” や “WordPress パンくずリスト” で検索すると、検索結果の 1 ページ目に日本語版を配布している naviwave.com のサイトが現れる。さらにそのほかにヒットするページの多くが日本語版を紹介している。

    実は私も以前は Breadcrumb NavXT 日本語版 を使用していたが、ここまでの事実は把握していた。けれどわざわざ日本語版と謳っているのだから、日本語環境における不具合の修正や改良、そして本家より適切な翻訳をしていると思いこんでいた。しかしふと Breadcrumb NavXT 日本語版 の変更内容が気になり、実際に差分を調べてみたらその結果に唖然とした。

    変更箇所一覧 (差分)

    Breadcrumb NavXT (オリジナル/本家) と Breadcrumb NavXT 日本語版の違いは次の通り。

    変更されたファイル一覧

    オリジナルの Breadcrumb NavXT から変更されているファイルは日本語の翻訳ファイルのみだった。

    • /languages/breadcrumb_navxt-ja.po
    • /languages/breadcrumb_navxt-ja.mo

    つまり日本語環境で発生する問題を修正するためにソースコードを改変、といった変更は含まれていない。

    翻訳ファイルの差分

    翻訳ファイル中の変更箇所を差分形式で示す。オリジナルの Breadcrumb NavXT の翻訳が赤Breadcrumb NavXT 日本語版の翻訳が緑

    適切な変更 (0 箇所)

    残念ながら適切だと思える変更は一つもなかった。

    不適切な変更 (12 箇所)

    まずは誤訳。どちらもまだ完了していないのに完了したことになっている。オリジナルでは正しく翻訳しているのに日本語版では誤った訳になっている。(さらに言うと “インストール” をタイプミスしている。)

     "Your plugin install is incomplete."
    -"プラグインのインストールは完了していません。"
    +"インストーツは完了しました。"
    
     "Complete now."
    -"すぐに完了する。"
    +"コンプリートしました。"
    

    以下は未翻訳。オリジナルにある適切な翻訳が日本語版では何故か削除されている。このような場合は英語リソースがそのまま表示されることになる。

    -"Un"
    -"無"
    
     "List"
    -"リスト"
    +""
    
     "RDFa"
    -"RDFa"
    +""
    
     "Microformat"
    -"マイクロフォーマット"
    +""
    
     "Plain"
    -"シンプル"
    +""
    

    これも未翻訳。”%s” の間の文字列が訳されていない。”%s” はプログラム実行時に置換される文字列を表し、たとえば “%sbug report%s” であれば前後にリンクタグが挿入され “<a href=”..”>bug report</a>” のように出力される。まさか日本語版の翻訳者が知らないってことはないよね。

     "Please include this message in your %sbug report%s."
    -"このメッセージをあなたの%sバグレポート%sに含めてください。"
    +"このメッセージを %sbug report% に含めてください。"
    
     "If you think you have found a bug, please include your WordPress version and details on how to reproduce the bug when you %sreport the issue%s."
    -"バグを発見され、%s問題をレポート%sする場合は、ご使用中のWordPressのバージョンおよびバグの再現方法の詳細を記載してください。"
    +"もしバグを発見したら、お使いの WordPress のバージョンと詳細を送ってください。 %s report the issue %s"
    

    次は適切でない言い換え。接頭文字や接尾文字でも意味は通じるが、用語としても日本語としても正しい接頭辞接尾辞を何故わざわざ言い換えるのか。接頭語や接尾語ならまだ分かるけど。ちなみに全体で 42 箇所の接頭辞と接尾辞が置換されている。

     "Home Prefix"
    -"ホーム接頭辞"
    +"ホーム接頭文字"
    
     "Home Suffix"
    -"ホーム接尾辞"
    +"ホーム接尾文字"
    

    単なるタイプミス

     "Link the breadcrumbs"
    -"パンくずリストにリンク"
    +"パンクすリストにリンク"
    

    ※ そのほかヘッダー情報の書き換えや参照位置を表す行番号の誤り、参照されないリソースの翻訳などがある。もちろん適切な変更ではないがプラグインの一般ユーザーには直接影響しないため割愛。

    ほとんど意味のない変更 (8 箇所)

    日本語の表現 (言い回し) を微妙に変えただけ。

     "Your version is %s, Breadcrumb NavXT requires %s"
    -"お使いのバージョンは%sになり、このプラグインを使用するためには%s以上が必要になります。"
    +"お使いのバージョンは%sで、Breadcrumb NavXT を使用するためには%s以上が必要になります。"
    
     "Some settings were not saved."
    -"一部の設定が保存されませんでした。"
    +"いくつかの設定は保存されませんでした。"
    
     "The following settings were not saved:"
    -"次の設定が保存されませんでした。"
    +"保存されなかった設定:"
    
     "Go to the Breadcrumb NavXT support post for your version."
    -"ご利用中のBreadcrumb NavXTバージョンのサポートへ移動"
    +"お使いのバージョンの Breadcrumb NavXT のサポートへ投稿"
    
     "Output trail as:"
    -"表示形式:"
    +"表示のしかた:"
    
     "Reverse the order of the trail"
    -"表示順を逆にする。"
    +"開始位置を逆にする。"
    
     "Load default settings now."
    -"初期設定を読み込む"
    +"今すぐデフォルト設定を読み込む。"
    
     "Default settings successfully installed."
    -"正常に初期設定がされました。"
    +"デフォルト設定でインストールされました。"
    

    ※ 個人的にはオリジナルの訳のほうが好み。特に移動表示順投稿開始位置と意訳し、表示形式表示のしかたと訳するのはかなり気になる。

    ディレクトリ構成の変更

    Breadcrumb NavXT のディレクトリ構成は次のようになっている。

    • /breadcrumb-navxt
      • /languages
      • readme.txt
      • breadcrumb_navxt_*.php, ...

    WordPress プラグインの標準的なインストール方法は「圧縮ファイルを解凍して生成されるディレクトリを /wp-content/plugins にアップロード」のため、breadcrumb-navxt.3.9.0.zip を解凍して生成される /breadcrumb-navxt をアップロードすることになる。

    一方で Breadcrumb NavXT 日本語版のディレクトリ構成は、次のようにプラグイン全体が /breadcrumb-navxt.3.9.0J に含まれている。

    • /breadcrumb-navxt.3.9.0J
      • /breadcrumb-navxt
        • /languages
        • readme.txt
        • breadcrumb_navxt_*.php, ...

    特に問題のない変更と思うかもしれないが、WordPress のプラグイン構成をよく知らずに breadcrumb-navxt.3.9.0J.zip を解凍して生成される /breadcrumb-navxt.3.9.0J をアップロードしてもプラグインはインストールされない。実際に naviwave.com が公開している Simple Tags 日本語版Search Everything 日本語改良版ではインストールに失敗するコメントが寄せられている。breadcrumb-navxt.3.9.0J.zip を解凍したら /breadcrumb-navxt を生成すればいいだけなのに、何故わざわざインストールにつまづきやすくしているのか。

    プラグイン名称の変更

    Breadcrumb NavXT という名称からは分かりにくいが、このプラグインはそれまでメジャーだった Breadcrumb Navigation XT というプラグインの後継バージョンにあたる。

    これだけでも紛らわしいのに「Breadcrumb NavXT を日本語化したと謳っているもの」を naviwave.com は次のように呼称している。

    • Breadcrumb NavXT 日本語版
    • Breadcrumb NavXT 日本語同梱版
    • Breadcrumb NavXT 日本語言語ファイル同梱版
    • Breadcrumb Navigation XT [パンクズリストの表示]

    せめて複数の呼称を統一して欲しいし Breadcrumb NavXT と Breadcrumb Navigation XT のどちらの日本語版なのかも分かりにくい。仮にプラグイン “ABC” と “ABC 日本語版” があったら、標準的な日本人であれば日本語版のほうを選択すると思う。オリジナルのプラグインが適切に日本語化されているのに、多くの人が改悪バージョンの日本語版を選んでしまうのは、そういった理由かなと推察している。

    ※ オリジナルと混同しないようにせめて日本語の翻訳ファイルのみを配布すればいいのに。そうすれば翻訳ファイルを追加する際に、ほとんどの人がオリジナルが既に標準で日本語化されていることに気付くはず。

    結論

    オリジナルとの違いはこれだけ。不適切な翻訳と言い回しの変更、インストールにつまづきやすいディレクトリ構成に誤解を招くプラグイン名称。そして適切な変更は一つもなし。これらの一連の変更内容に Breadcrumb NavXT 日本語版という別パッケージを作成して独自に配布するほどの価値があるとは思えない。

    実際に Breadcrumb NavXT 日本語版 を利用している人やサイトで紹介している人は、このような変更内容に納得するのか甚だ疑問。結論としては利用者はオリジナルに切り替えたほうが良いし、サイトで紹介していた人はオリジナルの記述に書き換えるべきだと思う。

    そして naviwave.com は日本語版の配布をやめて、訪問者にはオリジナルを使うように誘導する。たとえそれが多くのサイトから紹介され、検索結果の上位に表示される、サイト内で 2 番目の人気コンテンツで、これまで 4 万近くのアクセスがあるページであっても。

    追記:naviwave.com のそのほかの配布物

    ここまで Breadcrumb NavXT にしか触れていないのに、何故この記事のタイトルが「Breadcrumb NavXT や WP-PageNavi など…」となっているのか。実はこの記事を書いていたら naviwave.com にはほかにも同じような日本語化プラグインが多数あることに気付いた。嫌な予感はしたが軽く調べてみたところ、残念ながら以下の日本語化プラグインが Breadcrumb NavXT 日本語版 とほぼ同様の結果に。

    オリジナルのプラグインに含まれている日本語の翻訳ファイルは、数多くの WordPress プラグインの日本語化に貢献している Naoko McCracken さんや Kazuhiro Terada さんなどが作成したもので、naviwave.com 配布の日本語版の翻訳ファイルより明らかに優れた日本語訳になっている。そのような高品質のオリジナルの翻訳ファイルを低品質の独自翻訳ファイルで置き換えてまで、なんでわざわざ標準で日本語化されているプラグインの日本語版を作成するのか理解できない。ほかのサイトで naviwave.com 配布の日本語版に感謝しているコメントを見かけるけど正直だまされてると思う。アクセス数を稼ぐための日本語化商法と呼べなくもない。

    それから naviwave.com のサイト名は「WordPress Firefox オープンソース って(・∀・)イイ!!」だけど、価値のない変更を加えて独自パッケージとして配布できることがオープンソースの良さではない。さらにトップページにはちょっとしたテキストの修正だけって場合もあるから・・・汗と書いてあるが、だからといって日本語版という語弊のある名称のパッケージを独自に配布して利用者を混乱させて良いことにはならない。そもそもちょっとしたテキストの修正だけならば独自に日本語版 (同梱版) を配布する必要性が全く感じられない。

    naviwave.com 配布の Breadcrumb NavXT 日本語版 (改悪バージョン) を勧めているページで、検索結果上位に表示されるサイトを列挙してみた。なるべく早く修正して欲しい。

    Post Tagged with ,

One Responseso far.

  1. […] グ内検索プラグイン 本家でも日本語 コラム:Breadcrumb NavXT や WP-PageNavi などの日本語版を公開しているサイトが日本語化を謳 (うた) っていたと思ったらいつのまにか騙 (かた) っていた件 […]

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。