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13 November, 2000

1. ドキュメントオブジェクトモデル イベント

編集者
Tom Pixley, Netscape Communications Corp.

Table of contents

1.1. DOM レベル 2 イベントモデルの概要

このDOM2イベントモデルは2つのゴールを目指して設計された。 1つめのゴールは、イベントハンドラの登録を可能にし、ツリー構造の中でイベントの流れを説明し、各イベントについて基本的なコンテキスト情報を提供する、普遍的なイベントシステムの設計である。さらにこの仕様は、ユーザーインターフェースコントロールとドキュメントの内容変更(ミューテーション)の通知のための、イベントの標準的なモジュールを、それらの各イベントモジュールのコンテキスト情報とともに提供する。

このイベントモデルの2つめのゴールは、 DOM Level 0 ブラウザで用いられている現在のイベントシステムの共通サブセットを提供することにある。 これは既存のスクリプトおよびコンテンツとの互換性を維持するためである。 このゴールが以前との完全な互換性を満たすことは期待していない。 しかしこの仕様は、可能な場合にはこれを達成するように試みている。

イベントモデル仕様の以降のセクションでは、DOMイベントモデルの仕様と、そのモデルで使用するよう設計された数多くの適合イベントモジュールとの双方について定義する。 このイベントモデルはイベントの普及(propagation)および、イベントリスナー登録とイベントインターフェースという2つのセクションで構成されている。

DOMアプリケーションは、DOMImplementationインターフェースのhasFeature(feature, version)メソッドを、"Events" と "2.0"を(それぞれ)パラメータ値として用いて、その実装によってこのイベントモジュールがサポートされているかどうかを決定しても良い。 このモジュールを完全にサポートするためには、実装は DOM レベル 2 コア 仕様[DOM Level 2 Core]で定義されている「コア」の機能もサポートしなければならない。 適合性 に関するさらなる情報をDOM レベル 2 コア 仕様 [DOM Level 2 Core]で参照して頂きたい。

各イベントモジュールでは、そのイベントモジュールリスニングの中で、自身のfeature文字列を示している。

1.1.1. 用語

UIイベント(UI events)
ユーザーインターフェースイベント。これらのイベントは外部デバイス(マウス、キーボード etc.)を通したユーザーインタラクションによって生成される。
UI論理イベント(UI Logical events)
フォーカス移動メッセージや通知をトリガーするエレメントのような、デバイス非依存のユーザーインターフェースイベント。
変更イベント(Mutation events)
ドキュメントの構造を変更するようなアクションによって発生するイベント。
捕獲(Capturing)
イベントが、そのターゲットによって扱われる前に、イベントターゲットの 祖先 のひとつによって扱われうるプロセス。 (英単語ではcapturingとcapruredが混在しても紛らわしくないが、「捕獲する~」「捕獲した~」と書くと日本語として不適切になる場合があるので、英語で適宜どちらであるかを明記する。また「捕獲オブジェクト」などと書いた場合はcapturing、「被捕獲オブジェクト」のように書いた場合はcapturedを表すことにする。)
浮上(Bubbling)
イベントがそのターゲットによって扱われた後に、その 祖先 に伝播(propagate)するプロセス。
キャンセル可能(Cancelable)
イベントの処理時に、そのイベントに関連付けられたデフォルト動作の、DOMインプリメンテーションによる処理の防止を(つまり中断を)クライアントが決定できるようなイベントの設計。

1.2. イベントフロー(流れ)の説明

イベントフローとは、イベントがDOMインプリメンテーションから発してドキュメントオブジェクトモデルに渡されるプロセスである。 イベント捕獲とイベント浮上の方法論は、多くのイベントリスナー登録の技術と結びついて、多様な方法でイベントを処理することを可能にする。 これはEventTargetレベルでローカルな位置で操作され、また(視点を変えて)ドキュメントツリーでより上位のEventTargetから中心に、操作されていく。

1.2.1. 基本的なイベントフロー

各イベントは、DOMインプリメンテーションによって指定されたEventTargetをもつ。 この EventTargetEventtarget属性によって設定される。 イベントがターゲットに到達すると、EventTargetに登録されたイベントリスナーがトリガーされる。 そのEventTargetの全てのEventListenersが、このEventTargetが受け取ったいかなるイベントもトリガー可能であるとしても、 そのEventTargetにおける他のEventListenersとの間で、どの順序でそのイベントを受け取るか、については指定されない。

EventListener 中で投げられたいかなる例外も、そのイベントの伝播を止めるものではない。 これは、それ以上の(additional)いかなるEventListener も、記述された方法(マナー)に従って、処理を継続する。

EventListenerから取得したアクションは、それ以上のイベントを発動(fire)しうることが予期されている。それ以上のイベントは同様の方法で操作され、このイベントモデルの中でリエントランシー(再帰)を発生しうる。

1.2.2. イベント捕獲

イベント捕獲とは、そのイベントターゲットの 祖先 に登録されたイベントリスナーが、そのイベントターゲットによって受け取られる前に、所定のタイプのイベントを妨害することができる処理である。 捕獲はツリーの頂上、通常Documentから、以下で説明する浮上とは対照的に、下降的に処理(operate)される。 ツリーの頂点からそのイベントのターゲットまでの EventTargetの連鎖は、そのイベントの最初の送出(dispatch)より前に決定される。ツリーの変更がイベント処理中に発生した場合は、イベントフローはツリーの最初の状態に基づいて処理される。

EventTarget に登録されようとしている EventListener は、addEventListener メソッドのuseCapture パラメータを trueと指定することで、 (EventListenerが)イベントを捕獲するようにすることができる。 その場合、そのタイプのイベントが捕獲オブジェクトの 子孫 に送出されたときは、 このイベントは、ドキュメントの頂上からそのイベントのターゲットまでの直線上に存在する、適切なタイプのどのような捕獲イベントリスナーもトリガーする。 この下降的な伝播はイベントターゲットに到達するまで続く。 捕獲した(capturing) EventListener は、それが登録された EventTargetに直接に送出されたイベントにはトリガーされない。

もし捕獲した(capturing) EventListener が、それ以上のイベント発生による処理を防ぎたい場合は、 Event インターフェースのstopProgagation メソッドを呼ぶことができる。 これは、たとえ同じ階層レベルで登録された他のEventListeners がそのイベントを受け取るとしても、それ以上のイベントの送出を防ぐ。 一度イベントのstopPropagation メソッドが呼び出されると、 そのメソッドのそれ以上の呼び出しはそれ以上意味を持たない。 もしその他の捕獲者が存在し、かつstopPropagation が呼ばれていなかった場合、そのイベントはそのターゲット自身の適切な(タイプの) EventListeners をトリガーする。

イベント捕獲は、全ての関係ある集合がその通知の受け取りを希望するターゲットにリスナーを直接登録する、委任(デリゲート)ベースのイベントモデルに類似しているが、 2つの重要な側面で異なるものである。まず、 イベント捕獲は捕獲した(capturing) EventTarget子孫をターゲットした イベントの防止のみを許している。 祖先兄弟、あるいはその兄弟の 子孫 をターゲットしたイベントについては、防止を許していない。 次に、イベント捕獲は単一のEventTargetについて指定するのではなく、特定のタイプのイベントについて指定するのである。 一度指定されたら、イベント捕獲はその捕獲者のdescendantsをターゲットにした、指定タイプの全てのイベントを防止する。

1.2.3. イベント浮上

浮上するものとして設計されたイベントは、最初は非浮上イベントと同様のイベントフローで処理される。このイベントはそのターゲットとなるEventTarget に送出され、そこで見つかったイベントリスナーがトリガーされる。 その後、浮上イベントは、継承した各EventTargetに登録されたイベントリスナーをチェックしながら、そのEventTargetの祖先の連鎖を上って、さらなるイベントリスナーをトリガーする。 この上昇的な伝播はDocumentまで含むように続くわけではない。 捕獲者として登録された EventListener は、このフェーズの間はトリガーされない。 このEventTargetの イベントターゲットからツリーの頂上までの連鎖は、最初のイベントの送出より前に決定される。 もしイベント処理中にツリーの変更が発生した場合、イベントフローは最初のツリーの状態に基づいて処理される。

どのようなイベントハンドラも、EventインターフェースのstopPropagation メソッドを呼び出して さらなるイベントの伝播を防止して良い。 もしいずれかのEventListener がこのメソッドを呼び出したら、現在のEventTarget 上にあるその他全ての EventListeners はトリガーされるが、浮上はそのレベルで完了となる。 さらなる浮上を防ぐために必要なのは、ただ1つのstopPropagationだけである。

1.2.4. イベントのキャンセル

イベントにはキャンセル可能と指定されるものがある。それらのイベントについては、DOMインプリメンテーションには、一般的に、そのイベントに関連付けられたデフォルト動作がある。 この例としてはwebブラウザにおけるハイパーリンクがある。 ユーザーがハイパーリンク上をクリックしたとき、デフォルト動作は一般的にハイパーリンクをアクティブ化するころである。 これらのイベントを処理する前に、実装はそのイベントを受け取るよう登録されたイベントリスナーをチェックして、それらのリスナーにイベントを送出しなければならない。 そのとき、これらのリスナーは、実装のデフォルト動作をキャンセルするか、それともそのデフォルト動作を処理することを許すかというオプションをもつ。 ブラウザのハイパーリンクの場合は、この動作のキャンセルはハイパーリンクをアクティブ化しないという結果に至る。

キャンセルは EventpreventDefault メソッドの呼び出しによって実現される。 もし1つ以上のEventListeners がイベントフロー中のいずれかのフェーズでpreventDefault を呼び出した場合、そのデフォルト動作はキャンセルされる。

他の実装では、もしあれば、各イベントと関連付けられた自身のデフォルト動作を指定するものもあろう。DOMではそれらの動作を指定するような試みはしない。

1.3. イベントリスナー登録

1.3.1. イベント登録インターフェース

インターフェース EventTarget (DOM レベル 2で導入)

EventTarget インターフェースは、DOMイベントモデルをサポートする実装においては、全てのNodesに実装される。 そして、バインディング固有の変換(キャスティング)メソッドをNode インターフェースのインスタンスに用いることで、このインターフェースは受け取られることが可能になる。 このインターフェースはEventTarget 上のEventListeners の登録と削除、それからそのEventTarget に対するイベントの送出を可能にする。


IDL 定義
// DOM レベル 2で導入:
interface EventTarget {
  void               addEventListener(in DOMString type, 
                                      in EventListener listener, 
                                      in boolean useCapture);
  void               removeEventListener(in DOMString type, 
                                         in EventListener listener, 
                                         in boolean useCapture);
  boolean            dispatchEvent(in Event evt)
                                        raises(EventException);
};

メソッド
addEventListener
このメソッドは、イベントターゲットに対するイベントリスナーの登録を可能にする。 もし EventListenerEventTargetに追加されたら、それがイベントを処理している間は、それはカレントアクションによってはトリガーされないが、そのイベントフローの以降のステージ、たとえば浮上のフェーズなどではトリガーされうる。
もし複数の同一のEventListener が同一のEventTargetに、同一のパラメータで登録された場合、その複製インスタンスは破棄される。 それらが EventListener を2回呼ばれることはないし、破棄されているためremoveEventListener メソッドで削除する必要もない。
パラメータ
type DOMString
ユーザーが登録しようとしているイベントタイプ
listener EventListener
listener パラメータは、イベント発生時に呼び出されるメソッドを含む、ユーザーによって実装されたインターフェースを取る。
useCapture boolean
trueであれば、useCapture はユーザーが捕獲を開始(initiate)したいことを表す。捕獲の開始後は、指定されたタイプの全てのイベントが、 下方のEventTargetsに送出されるより前に、 ここで登録されたEventListenerに送出される。 ツリー上で浮上中のイベントは、捕獲を用いるよう設計されたEventListener をトリガーしない。
戻り値 なし
例外 なし
dispatchEvent
このメソッドはイベントモデルの実装へのイベントの送出を可能にする。 この方法で送出されたイベントは、実装によって直接送出されたイベントと同じように捕獲と浮上を振る舞う。 このイベントのターゲットは、dispatchEventが呼ばれた EventTargetである。
パラメータ
evt Event
イベント処理に用いられるイベントタイプ、振る舞い、コンテキスト情報を指定する。
戻り値

boolean

dispatchEventの戻り値型は、 preventDefaultと呼ばれるイベントを扱うリスナーがいるかどうかを表す。 もしpreventDefault が呼ばれていればこの値はfalseであり、そうでなければこの値はtrueとなる。

例外

EventException

UNSPECIFIED_EVENT_TYPE_ERR: dispatchEventが呼び出される前にイベントを初期化した時までに、Eventのタイプが指定されていなかった場合に発生する。 Event のタイプの指定がnull あるいは空文字列であった場合も、この例外をトリガーする。

removeEventListener
このメソッドは、そのイベントターゲットからのイベントリスナーの削除を可能にする。 もしイベントの処理中にその EventListenerEventTargetから削除されると、それはカレントアクションからトリガーされることはない。 EventListenerは、削除された後は絶対に呼び出されてはならない。
EventTargetに現在登録されているEventListener を何ら識別しないような引数を付けたremoveEventListener の呼び出しは何の効果もない。
パラメータ
type DOMString
削除されるEventListener のイベントタイプを指定する。
listener EventListener
EventListenerパラメータは、削除されるEventListenerを表す。
useCapture boolean
削除されるEventListener がリスナーを捕獲するものとして登録されていたかどうかを指定する。 もしリスナーが二重に、ひとつは捕獲するものとして、もうひとつは捕獲しないものとして、登録されていたら、それらは別々に削除されなければならない。リスナーを捕獲するものの削除は、同じリスナーの捕獲しない方には影響しないし、その逆もまた真なりである。
戻り値 なし
例外 なし
インターフェース EventListener (DOM レベル 2で導入)

EventListenerインターフェースは、イベントを扱う主要な方法である。 ユーザーはEventListenerインターフェースを実装して、 EventTarget 上のリスナーにAddEventListener メソッドを用いて登録する。 また、そのリスナーの仕様が完了した後は、ユーザーはそれらの EventListenerEventTarget から削除すべきである。

NodecloneNode メソッドを用いてコピーされた場合、 元のNodeに結び付けられたEventListenerは、コピーされたNodeには結びつけられることはない。 もしユーザーが同じ EventListenerを新しく生成されたコピーにも追加したい場合は、ユーザーはそれらを手動で追加しなければならない。


IDL 定義
// DOM レベル 2で導入:
interface EventListener {
  void               handleEvent(in Event evt);
};

メソッド
handleEvent
このメソッドは、このEventListener インターフェースが登録されたタイプのイベントが発生する度に呼び出される。
パラメータ
evt Event
このEventはそのイベントに関するコンテキスト情報を含む。これには stopPropagationpreventDefaultのメソッドも含まれ、そのイベントのフローおよびデフォルト動作を決定するために用いられる。
戻り値 なし
例外 なし

1.3.2. HTML 4.0 イベントリスナーとのインタラクション

HTML 4.0では、イベント属性はエレメントの属性として指定される。 従って、同じタイプの2番目のイベントリスナーの登録は、最初のリスナーを置き換える。 DOMイベントモデルでは、単一のEventTargetに複数のイベントリスナーを登録することを可能にしている。 これを実現するために、イベントリスナーはもはや属性値としては保存されない。

HTML 4.0と互換性を保つために、実装者はイベントハンドラを表す属性の設定を、 そのEventTarget 上のEventListenerの生成および登録とみなしても良い。 useCapture のデフォルト値は falseである。 このEventListener は、EventTarget上に登録されたその他全てのEventListenersと同様の方法で振る舞う。 もしイベントリスナーを表す属性が変化したら、それはそれまでに登録されていたEventListener の削除であり、新しいものの登録であるとみなしてよい。 HTML 4.0のイベントリスナーには、それぞれのイベントに定義されたコンテキスト情報にアクセスすることを可能にする技術は提供されていない。

1.4. イベントインターフェース

インターフェース Event (DOM レベル 2で導入)

Event インターフェースは、イベントに関するコンテキスト情報を、そのイベントを処理するハンドラに提供するために用いられる。 Event インターフェースを実装するオブジェクトは、通常イベントハンドラの最初のパラメータとして渡される。より個別的なコンテキスト情報は、そのイベントのタイプに直接的に関係するコンテキスト情報を含んだ、Eventに追加のインターフェースを派生させたイベントハンドラに渡される。 それらの派生インターフェースもまた、イベントリスナーに渡されるオブジェクトによって実装される。


IDL 定義
// DOM レベル 2で導入:
interface Event {

  // PhaseType
  const unsigned short      CAPTURING_PHASE                = 1;
  const unsigned short      AT_TARGET                      = 2;
  const unsigned short      BUBBLING_PHASE                 = 3;

  readonly attribute DOMString        type;
  readonly attribute EventTarget      target;
  readonly attribute EventTarget      currentTarget;
  readonly attribute unsigned short   eventPhase;
  readonly attribute boolean          bubbles;
  readonly attribute boolean          cancelable;
  readonly attribute DOMTimeStamp     timeStamp;
  void               stopPropagation();
  void               preventDefault();
  void               initEvent(in DOMString eventTypeArg, 
                               in boolean canBubbleArg, 
                               in boolean cancelableArg);
};

定義グループ PhaseType

イベントフローのどのフェーズが処理されるかを表す整数。

定義済み定数
AT_TARGET
そのイベントは現在ターゲットEventTargetで評価されている。
BUBBLING_PHASE
現在のイベントフェーズは浮上フェーズにある。
CAPTURING_PHASE
現在のイベントフェーズは捕獲フェーズにある。
属性
bubbles boolean型 readonly
イベントが浮上イベントかどうかを表すために用いられる。 もし浮上イベントであればこの値はtrueとなり、そうでなければこの値はfalseとなる。
cancelable boolean型 readonly
イベントのデフォルト動作が防止されうるかどうかを表すために用いられる。 もしデフォルト動作が防止されうる場合はこの値はtrueとなり、そうでなければこの値はfalseとなる。
currentTarget EventTarget型 readonly
EventListenersが現在処理されているEventTargetを表すために用いられる。 特に捕獲や浮上の途中では便利である。
eventPhase unsigned short型 readonly
イベントフローのどのフェーズが現在評価されているかを表すために用いられる。
target EventTarget型 readonly
イベントが元々送出されたEventTargetを表すために用いられる。
timeStamp DOMTimeStamp型 readonly
イベントが生成された時間(エポックからの相対的なミリ秒)を指定するために用いる。 いくつかのシステムではこの情報を提供しないという事実があるため、 timeStampの値は全てのイベントについて適用できるわけではない。 利用できない場合は、値0が返る。エポック時間の例としては、システム開始時間や、1070年1月1日 0:0:0 UTC などがある。
type DOMString型 readonly
イベントの名前(大文字・小文字は識別しない)。この名前は XML ネームでなければならない。
メソッド
initEvent
initEvent メソッドは DocumentEvent インターフェースを通して生成されたEventの値を初期化するために用いられる。 このメソッドは、EventdispatchEventを通して送出される前にのみ呼び出されて良い。ただ、そのフェーズの中で必要なときは複数回呼ばれてもよい。 もし複数回呼ばれた場合、最後の呼び出しが優先される。 もしinitEventメソッドで指定された値が変更されただけの Eventインターフェースのサブクラスから呼び出された場合、その他全ての属性は変更されないまま残る。
パラメータ
eventTypeArg DOMString
イベントタイプを指定する。このタイプは現在のこの仕様で定義されているどのようなイベントタイプでも良いし、新しいイベントタイプであっても良い。 この文字列はXML ネームでなければならない。
新しいイベントタイプは、大文字・小文字・混成のいずれかを問わず文字列"DOM"で始まってはならない。このプレフィックスは将来のDOMイベントセットのために予約される。 他の新しいイベントとの混乱を回避し衝突の可能性を軽減するために、独自のイベントを追加するサードパーティが、自身のプレフィックスを用いることもまた強く推奨される。
canBubbleArg boolean
そのイベントが浮上可能かどうかを指定する。
cancelableArg boolean
そのイベントのデフォルト動作が防止できるかどうかを指定する。
戻り値 なし
例外 なし
preventDefault
もしイベントがキャンセル可能であれば、 このpreventDefault メソッドは、そのイベントがキャンセルされ、実装によって通常処理されるデフォルト動作がそのイベントの結果として発生しないことを指示するために用いられる。 ベントフローのどの状態であっても、preventDefaultメソッドが呼び出されれば、そのイベントはキャンセルされる。 そのイベントに関連付けられたいかなるデフォルト動作も発生しない。 キャンセル不可能なイベントに対するこのメソッドの呼び出しは効果を持たない。 いったんpreventDefault が呼び出されると、これはそのイベントの伝播の残り全てに効果をもたらす。 このメソッドはイベントフローのどの段階でも用いられうる。
パラメータ なし
戻り値 なし
例外 なし
stopPropagation
stopPropagation メソッドは イベントフロー中でイベントのそれ以上の伝播を防止するために用いられる。 もしこのメソッドが何らかのEventListenerから呼び出された場合、 そのイベントはそのツリーを通しての伝播を中断する。 このイベントは 、イベントフローが停止する前に。現在のEventTarget 上の全てのリスナーに対して完全に送出される。 このメソッドはイベントフローのどの状態でも用いられうる。
パラメータ なし
戻り値 なし
例外 なし
例外 EventException DOM レベル 2で導入

イベント命令は、それらのメソッドの説明で指定された通りに EventException を投げうる。


IDL 定義
// DOM レベル 2で導入:
exception EventException {
  unsigned short   code;
};
// イベント例外コード
const unsigned short      UNSPECIFIED_EVENT_TYPE_ERR     = 0;

定義グループ EventExceptionCode

生成されたエラーのタイプを表す整数。

定義済み定数
UNSPECIFIED_EVENT_TYPE_ERR
Eventのタイプが、 このメソッドが呼び出される前に、イベントの初期化の時点までで指定されなかった場合。 イベントタイプのnullや空文字列の指定もまたこの例外をトリガーする。

1.5. DocumentEvent インターフェース

インターフェース DocumentEvent (DOM レベル 2で導入)

DocumentEvent インターフェースは、実装によってサポートされているタイプのイベントを、ユーザーが生成できるメカニズムを提供する。 DocumentEventインターフェースは、そのイベントモデルをサポートするようなDocumentを実装するオブジェクトと同一のものによって実装されることが期待されている。


IDL 定義
// DOM レベル 2で導入:
interface DocumentEvent {
  Event              createEvent(in DOMString eventType)
                                        raises(DOMException);
};

メソッド
createEvent
パラメータ
eventType DOMString
eventType パラメータは、生成される Event インターフェースのタイプを指定する。 もし指定されたEvent インターフェースが この実装によってサポートされているのであれば、このメソッドは要求されたインターフェースタイプの新しいEvent を返す。 もしそのEventdispatchEvent メソッドを通して送出される場合、適切なイベント初期化メソッドが、生成の後に呼び出され、Eventの値を初期化する。 例として、いくつかの種類のUIEventを統合したいユーザーは、createEvent をパラメータ "UIEvents"付きで呼び出すであろう。 そして、initUIEvent メソッドが新しく生成されたUIEvent について呼び出され、特定のUIEventタイプが送出されるように設定し、またそのコンテキスト情報を設定する。
createEvent メソッドは、ユーザーがそれらのEvent を生成する際に不便であるか不要である場合に、Eventを生成するときに用いられる。 実装が提供するEvent が 足りない場合、ユーザーは、dispatchEventメソッドを用いる際に、自らのEvent実装を用いても良い。
戻り値

Event

新しく生成されたEvent

例外

DOMException

NOT_SUPPORTED_ERR: この実装が要求されたEvent インターフェースのタイプをサポートしない場合に呼び出される

1.6. イベントモジュール定義

DOM レベル 2 イベントモデルは、DOMインプリメンテーションがイベントの複数モジュールをサポートすることを可能にしている。 このモデルは、必要に応じて新しいイベントモジュールを追加できるように設計された。 このDOMでは、可能な限りのイベントを定義しようとは試みていない。 互換性のために、このDOMでは、低レベルデバイス依存のイベントを含むユーザーインターフェースイベントのモジュール、UI論理イベントのモジュール、ドキュメントの変更イベントのモジュールを含む。 サードパーティが定義した新しいイベントタイプはいずれも大文字・小文字・混成を問わず先頭が文字列"DOM"で始まってはならない。 このプレフィックスは将来のDOMイベントモジュールのために予約されている。 また、サードパーティが追加した彼らのイベントには、彼ら自身のプレフィックスを用いて、他の新しいイベントとの混乱を回避し衝突の可能性を軽減することが強く推奨される。

1.6.1. ユーザーインターフェースイベントタイプ

ユーザーインターフェースイベントモジュールは、HTML 4.0 で列挙されるイベントと DOM Level 0 ブラウザでサポートされる追加イベントで編成されている。

DOMアプリケーションはDOMImplementationインターフェースの hasFeature(feature, version) メソッドを、パラメータ値 "UIEvents" と "2.0" (それぞれ)用いて そのユーザーインターフェースイベントモジュールがその実装によってサポートされているかどうかを決定してもよい。 このモジュールを完全にサポートするためには、実装はこの仕様で定義されている"Events" featureと、DOM レベル 2 ビュー 仕様 [DOM Level 2 Views]で定義されている"Views" featureもサポートしなければならない。 適合性 に関する追加情報を、DOM レベル 2 コア 仕様 [DOM Level 2 Core]で参照して頂きたい。

備考: UIEventインターフェースのインスタンスを生成するためには、feature文字列"UIEvents"をDocumentEventインターフェースの createEvent メソッドで用いられる入力パラメータの値として用いること。

インターフェース UIEvent (DOM レベル 2で導入)

UIEvent インターフェースはユーザーインターフェースイベントに関連付けられた固有のコンテキスト情報を提供する。


IDL 定義
// DOM レベル 2で導入:
interface UIEvent : Event {
  readonly attribute views::AbstractView  view;
  readonly attribute long             detail;
  void               initUIEvent(in DOMString typeArg, 
                                 in boolean canBubbleArg, 
                                 in boolean cancelableArg, 
                                 in views::AbstractView viewArg, 
                                 in long detailArg);
};

属性
detail long型 readonly
イベントのタイプに依存する、Eventに関する詳細情報を表す。
view views::AbstractView型 readonly
view 属性は、そのイベントが生成されたAbstractViewを識別する。
メソッド
initUIEvent
initUIEvent メソッドは、 DocumentEvent インターフェースから生成されたUIEventの値を初期化するために用いられる。 このメソッドは dispatchEvent メソッドを通してUIEventが送出される前にのみ呼び出されるが、必要に応じてそのフェーズの中で複数回呼び出されてもよい。 もし複数回呼び出された場合、最後の呼び出しが優先される。
パラメータ
typeArg DOMString
イベントタイプを指定する。
canBubbleArg boolean
このイベントが浮上可能かどうかを表す。
cancelableArg boolean
このイベントのデフォルト動作が防止できるかどうかを表す。
viewArg views::AbstractView
そのEventAbstractViewを表す。
detailArg long
Eventの詳細を表す。
戻り値 なし
例外 なし

このイベントのタイプとして発生しうるものは:

DOMFocusIn
DOMFocusIn イベントは、EventTargetがフォーカスを受け取った時に発生する。たとえばポインティングデバイスがこのエレメント上に移動してきたり、タブ操作がこのエレメントに辿り着いた場合である。HTMLイベントフォーカスとは異なり、DOMFocusIn はFORMコントロールに限らず、あらゆるフォーカス可能なEventTargetに適用できる。
  • 浮上: あり
  • キャンセル: 不可
  • コンテキスト情報: なし
DOMFocusOut
DOMFocusOut イベントはEventTargetがフォーカスを喪失したときに発生する。 たとえばポインティングデバイスがエレメントの外に移動したり、タブ操作がそのエレメントから外れた場合である。 HTMLのイベント消失とは異なり、DOMFocusOutはFORMコントロールに限らず、あらゆるフォーカス可能なEventTargetに適用できる。
  • 浮上: あり
  • キャンセル: 不可
  • コンテキスト情報: なし
DOMActivate
アクティブ化イベントは、エレメントがアクティブ化された時に発生する。 たとえばマウスクリックやキー押下などである。数値の引数は、発生したアクティブ化の種類を示すために用いられる。1は単なるアクティブ化(マウスのシンプルクリックやEnterなど)であり、2はハイパーアクティブ化(たとえばダブルクリックやShift Enterなど)である。
  • 浮上: あり
  • キャンセル: 不可
  • コンテキスト情報: 詳細(数値)

1.6.2. マウスイベントタイプ

マウスイベントモジュールは、 HTML 4.0で列挙されるイベントと DOM Level 0 ブラウザでサポートされる追加イベントで編成される。 このイベントモジュールは特にマウス入力デバイスで用いるために設計されている。

DOMアプリケーションはDOMImplementationインターフェースの hasFeature(feature, version) メソッドを、パラメータ値 "MouseEvents" と "2.0" (それぞれ)用いて そのユーザーインターフェースイベントモジュールがその実装によってサポートされているかどうかを決定してもよい。 このモジュールを完全にサポートするためには、実装はこの仕様で定義されている"UIEvents" featureもサポートしなければならない。 適合性 に関する追加情報を、DOM レベル 2 コア 仕様 [DOM Level 2 Core]で参照して頂きたい。

備考: MouseEventインターフェースのインスタンスを生成するためには、feature文字列"MouseEvents"をDocumentEventインターフェースの createEvent メソッドで用いられる入力パラメータの値として用いること。

Interface MouseEvent (introduced in DOM Level 2)

MouseEvent インターフェースは、マウスイベントに関連付けられた固有のコンテキスト情報を提供する。

UIEventから継承したdetail属性は、1回のユーザーアクション中に同じ画面位置でマウスボタンが何回押下され解放されたかを表す。ユーザーがこのアクションを開始した時のこの属性値は1であり、一連の押下と解放の度に1ずつ増加する。 もしユーザーがマウスをマウスダウンとマウスアップ中に移動した場合、この値は0にセットされ、クリックは発生しなかったことになる。

ネストしたエレメントの場合は、マウスイベントは常に最も深くネストしたエレメントにターゲットされる。ターゲットされたエレメントの祖先は、その子孫エレメントで発生したマウスイベントの通知を、浮上を用いて取得することができる。


IDL 定義
// DOM レベル 2で導入:
interface MouseEvent : UIEvent {
  readonly attribute long             screenX;
  readonly attribute long             screenY;
  readonly attribute long             clientX;
  readonly attribute long             clientY;
  readonly attribute boolean          ctrlKey;
  readonly attribute boolean          shiftKey;
  readonly attribute boolean          altKey;
  readonly attribute boolean          metaKey;
  readonly attribute unsigned short   button;
  readonly attribute EventTarget      relatedTarget;
  void               initMouseEvent(in DOMString typeArg, 
                                    in boolean canBubbleArg, 
                                    in boolean cancelableArg, 
                                    in views::AbstractView viewArg, 
                                    in long detailArg, 
                                    in long screenXArg, 
                                    in long screenYArg, 
                                    in long clientXArg, 
                                    in long clientYArg, 
                                    in boolean ctrlKeyArg, 
                                    in boolean altKeyArg, 
                                    in boolean shiftKeyArg, 
                                    in boolean metaKeyArg, 
                                    in unsigned short buttonArg, 
                                    in EventTarget relatedTargetArg);
};

属性
altKey boolean型 readonly
イベントの起動時に'alt'キーが押されていたかどうかを表すために用いられる。 プラットフォームによっては、このキーは他のキーの名前に対応しているかもしれない。
button unsigned short型 readonly
buttonは、マウスボタンの押下あるいは解放によって発生したマウスイベントの間、 どのマウスボタンが状態を変更したかを示すために用いられる。 button の値の範囲は、左ボタンを表す0、存在する場合は中央のボタンを表す1、そして右ボタンを表す2である。左利き用に調整されてボタンアクションが逆になっているマウスについては、このようにはせず、右から左にこの値が設定される。
clientX long型 readonly
イベントが発生した場所の、DOMインプリメンテーションのクライアント領域からの相対的な水平座標。
clientY long型 readonly
イベントが発生した場所の、DOMインプリメンテーションのクライアント領域からの相対的な垂直座標。
ctrlKey boolean型 readonly
イベントの発動中に'ctrl'キーが押されていたかどうかを表すために用いられる。
metaKey boolean型 readonly
イベントの発動中に'meta'キーが押されていたかどうかを表すために用いられる。プラットフォームによっては、このキーは他のキーの名前に対応しているかもしれない。
relatedTarget EventTarget型 readonly
この次に(secondary)このUIイベントに関連付けられたEventTargetを識別するために用いられる。 この属性は現在は、 そのEventTargetからポインティングデバイスが外れた時を指定するmouseoverイベントと、 そのEventTargetからポインティングデバイスが入った時を指定するmouseoutイベントで 用いられる。
screenX long型 readonly
イベントが発生した場所の、スクリーン座標系の原点からの相対的な水平座標。
screenY long型 readonly
イベントが発生した場所の、スクリーン座標系の原点からの相対的な垂直座標。
shiftKey boolean型 readonly
イベントの発動中に'shife'キーが押されていたかどうかを表すために用いられる。
メソッド
initMouseEvent
initMouseEvent メソッドは DocumentEvent インターフェースから生成されたMouseEventの値を初期化するために用いられる。 このメソッドは dispatchEvent メソッドを通してMouseEventが送出される前にのみ呼び出されるが、必要に応じてこのフェーズ中で複数回呼び出されてもよい。 もし複数回呼び出された場合、最後の呼び出しが優先される。
パラメータ
typeArg DOMString
イベントタイプを表す。
canBubbleArg boolean
そのイベントが送出可能かどうかを表す。
cancelableArg boolean
このイベントのデフォルト動作が防止できるかどうかを表す。
viewArg views::AbstractView
EventAbstractViewを表す。
detailArg long
Eventのマウスクリック回数を表す。
screenXArg long
Eventのスクリーンx座標を表す。
screenYArg long
Eventのスクリーンy座標を表す。
clientXArg long
Eventのクライアントx座標を表す。
clientYArg long
Eventのクライアントy座標を表す。
ctrlKeyArg boolean
Eventの間コントロールキーが押されていたかどうかを表す。
altKeyArg boolean
Eventの間altキーが押されていたかどうかを表す。
shiftKeyArg boolean
Eventの間shiftキーが押されていたかどうかを表す。
metaKeyArg boolean
Eventの間metaキーが押されていたかどうかを表す。
buttonArg unsigned short
Eventのマウスボタンを表す。
relatedTargetArg EventTarget
Eventに関連付けられたEventTargetを表す。
戻り値 なし
例外 なし

このイベントのタイプとして発生しうるものは:

click
click イベントはポインティングデバイスがエレメント上でクリックされたときに発生する。 クリックとは、同じ画面位置におけるmousedownとmouseupであると定義する。これらのイベントの流れは:
    mousedown
    mouseup
    click
   
となる。 もし複数回のクリックが同じ画面位置で発生した場合、そのシーケンスの繰り返しに応じてdetail 属性を増やし続ける。このイベントはほとんどのエレメントで有効である。
  • 送出: あり
  • キャンセル: 可
  • コンテキスト情報: screenX, screenY, clientX, clientY, altKey, ctrlKey, shiftKey, metaKey, button, detail
mousedown
mousedown イベントはポインティングデバイスのボタンがエレメント上で押下されたときに発生する。このイベントはほとんどのエレメントで有効である。
  • 送出: あり
  • キャンセル: 可
  • コンテキスト情報: screenX, screenY, clientX, clientY, altKey, ctrlKey, shiftKey, metaKey, button, detail
mouseup
mouseup イベントはポインティングデバイスのボタンがエレメント上から解放されたときに発生する。このイベントはほとんどのエレメントで有効である。
  • 送出: あり
  • キャンセル: 可
  • コンテキスト情報: screenX, screenY, clientX, clientY, altKey, ctrlKey, shiftKey, metaKey, button, detail
mouseover
mouseover イベントはポインティングデバイスのボタンがエレメント上に入ってきたときに発生する。このイベントはほとんどのエレメントで有効である。
  • 送出: あり
  • キャンセル: 可
  • コンテキスト情報: screenX, screenY, clientX, clientY, altKey, ctrlKey, shiftKey, metaKey, relatedTarget indicates the EventTarget the pointing device is exiting.
mousemove
mousemove イベントはポインティングデバイスのボタンがエレメント上で移動したときに発生する。このイベントはほとんどのエレメントで有効である。event occurs when
  • 送出: あり
  • キャンセル: 不可
  • コンテキスト情報: screenX, screenY, clientX, clientY, altKey, ctrlKey, shiftKey, metaKey
mouseout
The mouseout イベントはポインティングデバイスのボタンがエレメント上から外れたときに発生する。このイベントはほとんどのエレメントで有効である。
  • 送出: あり
  • キャンセル: 可
  • コンテキスト情報: screenX, screenY, clientX, clientY, altKey, ctrlKey, shiftKey, metaKey, relatedTarget indicates the EventTarget the pointing device is entering.

1.6.3. キーイベント

DOM レベル 2 イベント 仕様では、キーイベントモジュールを提供しない。 キーボード入力デバイスで用いるように設計されるイベントモジュールは、DOM仕様の以降のバージョンに含まれることになろう。

1.6.4. 変更イベントタイプ

変更イベントモジュールは、属性やテキストも含む、ドキュメントの構造のあらゆる変化を通知することを可能にするよう設計されている。 ここで列挙する変更イベントのいずれも、キャンセル不可として設計されていることに注意してほしい。 これは、既存のDOMインターフェースが、何らかの変更がドキュメントにあったかどうかで、関連付けられたイベントのキャンセルに従ってドキュメントを変更することは、非常に困難であるという事実による。 望ましい機能ではあるが、DOMに対するトランザクションの追加まで残しておく方が良いという判断になった。

ツリーの単一の変更の多くは、複数の変更イベントを発動しうる。 そのツリー上で可能な変更の全てに対応する変更イベントについて、並べ替えを指定するようには試みられなかった。むしろこれらのイベントの並べ替えは実装に依存されることになった。

DOMアプリケーションはDOMImplementationインターフェースの hasFeature(feature, version) メソッドを、パラメータ値 "MutationEvents" と "2.0" (それぞれ)用いて そのユーザーインターフェースイベントモジュールがその実装によってサポートされているかどうかを決定してもよい。 このモジュールを完全にサポートするためには、実装はこの仕様で定義されている"Events" featureもサポートしなければならない。 適合性 に関する追加情報を、DOM レベル 2 コア 仕様 [DOM Level 2 Core]で参照して頂きたい。

備考: MutationEventインターフェースのインスタンスを生成するためには、feature文字列"MutationEvents"をDocumentEventインターフェースの createEvent メソッドで用いられる入力パラメータの値として用いること。

インターフェース MutationEvent ( DOM レベル 2で導入)

MutationEvent インターフェースは変更イベントに関連付けられた固有のコンテキスト情報を提供する。


IDL 定義
// DOM レベル 2で導入:
interface MutationEvent : Event {

  // attrChangeType
  const unsigned short      MODIFICATION                   = 1;
  const unsigned short      ADDITION                       = 2;
  const unsigned short      REMOVAL                        = 3;

  readonly attribute Node             relatedNode;
  readonly attribute DOMString        prevValue;
  readonly attribute DOMString        newValue;
  readonly attribute DOMString        attrName;
  readonly attribute unsigned short   attrChange;
  void               initMutationEvent(in DOMString typeArg, 
                                       in boolean canBubbleArg, 
                                       in boolean cancelableArg, 
                                       in Node relatedNodeArg, 
                                       in DOMString prevValueArg, 
                                       in DOMString newValueArg, 
                                       in DOMString attrNameArg, 
                                       in unsigned short attrChangeArg);
};

定義グループ attrChangeType

どのような方法でAttr が変更されたかを表す整数。

定義済み定数
ADDITION
Attr は単純に追加されたものである。
MODIFICATION
Attr は置き換えられて変更されたものである。
REMOVAL
Attr は単純に削除されたものである。
属性
attrChange unsigned short型 readonly
attrChange は、DOMAttrModified イベントをトリガーした変更の種類を示す。値として可能なのは MODIFICATIONADDITIONREMOVALのいずれかである。
attrName DOMString型 readonly
attrName DOMAttrModified イベントで変更された Attr ノードの名前を示す。
newValue DOMString型 readonly
newValue はDOMAttrModified イベントでのAttrノードの新しい値、あるいはDOMCharDataModifiedイベントでのCharacterData ノードの新しい値を示す。
prevValue DOMString型 readonly
newValue はDOMAttrModified イベントでのAttrノードの以前の値、あるいはDOMCharDataModifiedイベントでのCharacterData ノードの以前の値を示す。
relatedNode Node型 readonly
relatedNodeは変更イベントに関連付けられた次の(secondary)ノードを識別するために用いられる。 たとえば、もしあるノードに親が変化したという変更イベントが送出されたら、その relatedNode とは変化した親である。 もしそうではなく、あるサブツリーにその内部で変化があったというイベントが送出されたら、そのrelatedNodeとは変化したノードである。 DOMAttrModified イベントの場合は、変更された、あるいは追加された、あるいは削除されたAttr ノードを示す。
メソッド
initMutationEvent
initMutationEvent メソッドは、 DocumentEvent インターフェースから生成されたMutationEventの値を初期化するために用いられる。 このメソッドは、dispatchEvent メソッドを通してMutationEventが送出されるより前にのみ呼び出されるが、必要に応じてこのフェーズ中で複数回呼び出されてもよい。 もし複数回呼び出された場合、最後の呼び出しが優先される。
パラメータ
typeArg DOMString
そのイベントのタイプを表す。
canBubbleArg boolean
そのイベントが送出可能かどうかを表す。
cancelableArg boolean
そのイベントのデフォルト動作が防止できるかどうかを表す。
relatedNodeArg Node
そのEventの関連ノードを表す。
prevValueArg DOMString
そのEventprevValue 属性を表す。この値はnullである可能性がある。
newValueArg DOMString
そのEventnewValue 属性を表す。この値はnullである可能性がある。
attrNameArg DOMString
そのEventattrName 属性を表す。この値はnullである可能性がある。
attrChangeArg unsigned short
そのEventattrChange 属性を表す。
戻り値 なし
例外 なし

変化イベントとして発生しうるタイプは:

DOMSubtreeModified
これはドキュメントの全ての変化を通知する普遍的なイベントである。 これは以下に列挙されているより個別的なイベントで代用することができる。 これは、ひとつの単純な変更がドキュメントに加えられた後か、 複数の変更が発生した場合は実装の任意の段階で、発動される。 後者の利用では、同時にあるいは素早く連続的に(同時と呼べるくらい素早い変化で)発生する複数の変更をどちらも有効にする(accomodate)ために用いられる。 このイベントのターゲットは、実行された変更(たち)の、最も低い共通の親である。 このイベントはこの変更の発動によって生じたその他全てのイベントの後で送出される。
  • 送出: あり
  • キャンセル: 不可
  • コンテキスト情報: なし
DOMNodeInserted
ノードが他のノードの として追加されたときに発動される。このイベントは追加が実行された後で送出される。このイベントのターゲットは追加されようとしている(子)ノードである。
  • 送出: あり
  • キャンセル: 不可
  • コンテキスト情報: relatedNode には親ノードをもつ
DOMNodeRemoved
ノードが親ノードから削除されようとしているときに発動される。 このイベントはそのノードがツリー上から削除される前に呼び出される。 このイベントのターゲットは、削除されようとしているノードである。
  • 送出: あり
  • キャンセル: 不可
  • コンテキスト情報: relatedNode には親ノードをもつ
DOMNodeRemovedFromDocument
ノードがドキュメントから削除されようとしているときに、直接的なノードの削除であるか、それが含まれているサブツリーの削除であるかを問わずに、発動される。 このイベントは削除が実行される前に送出される。 このイベントのターゲットは、削除されようとしているノードである。もしこのノードが直接削除されようとしているのであれば、DOMNodeRemoved イベントはこのDOMNodeRemovedFromDocument イベントより前に発動する。
  • 送出: なし
  • キャンセル: 不可
  • コンテキスト情報: なし
DOMNodeInsertedIntoDocument
ノードがドキュメントに追加されようとしているときに、直接的なノードの追加であるか、それが含まれるサブツリーの追加であるかを問わずに、発動される。 このイベントは追加が実行された後で送出される。 このイベントのターゲットは、生成されようとしているノードである。もしこのノードが直接生成されようとしているのであれば、DOMNodeInserted イベントはこのDOMNodeInsertedIntoDocument イベントより前に発動する。
  • 送出: なし
  • キャンセル: 不可
  • コンテキスト情報: なし
DOMAttrModified
Attr がノード上で変更された後で発動される。 このイベントのターゲットは、Attr が変更された Node である。 attrChangeの値は、Attr が変更されたか、追加されたか、削除されたかを示す。 relatedNodeの値は、その値に影響を与えたAttr ノードを示す。 文字列ベースのAttr の値の置換は、その属性の一意性には変化がないため、Attr の変更とみなされることが期待されている。 そして、Attr ノードの他のAttr への置換は、最初のAttr ノードの削除であり、次のノードの追加であるとみなされる。
  • 送出: あり
  • キャンセル: 不可
  • コンテキスト情報: attrName, attrChange, prevValue, newValue, relatedNode
DOMCharacterDataModified
ノード中のCharacterData が変更された場合で、かつそのノード自身が追加されたのでも削除されたのでもない場合に発動される。 このイベントはPIエレメントの変更によってもトリガーされる。 このイベントのターゲットはCharacterData ノードである。
  • 送出: あり
  • キャンセル: 不可
  • コンテキスト情報: prevValue, newValue

1.6.5. HTML イベントタイプ

HTML イベントモジュールはHTML 4.0で列挙されているイベントと、 DOM Level 0 ブラウザでサポートされる追加イベントで編成される。

DOMアプリケーションはDOMImplementationインターフェースの hasFeature(feature, version) メソッドを、パラメータ値 "HTMLEvents" と "2.0" (それぞれ)用いて そのユーザーインターフェースイベントモジュールがその実装によってサポートされているかどうかを決定してもよい。 このモジュールを完全にサポートするためには、実装はこの仕様で定義されている"Events" featureもサポートしなければならない。 適合性 に関する追加情報を、DOM レベル 2 コア 仕様 [DOM Level 2 Core]で参照して頂きたい。

備考: Eventインターフェースのインスタンスを生成するためには、feature文字列"HTMLEvents"をDocumentEventインターフェースの createEvent メソッドで用いられる入力パラメータの値として用いること。

HTML イベントはベースとなるDOM Eventインターフェースを、コンテキスト情報を渡すために用いる。

このイベントとして発生しうるタイプは:

load
load イベントは、DOMインプリメンテーションがドキュメント中の、あるいはFRAMESET中の全てのフレームの、あるいはOBJECTエレメントの、全ての内容をロードし終えたときに発生する。
  • 送出: なし
  • キャンセル: 不可
  • コンテキスト情報: なし
unload
unloadイベントは、DOMインプリメンテーションがドキュメントをウィンドウあるいはフレームから削除したときに発生する。 このイベントはBODYとFRAMESETのエレメントについて有効である。
  • 送出: なし
  • キャンセル: 不可
  • コンテキスト情報: なし
abort
abort イベントは、ページの読み込みが、その全容(image)の完全なロードの前に停止した場合に発生する。 このイベントはOBJECTエレメントに適用される。
  • 送出: あり
  • キャンセル: 不可
  • コンテキスト情報: なし
error
error イベントは、その全容が適切に読み込まれなかったか、あるいはエラーがスクリプトの実行中に発生した場合に発生する。 このイベントはOBJECTエレメント、BODYエレメント、FRAMESETエレメントについて有効である。
  • 送出: あり
  • キャンセル: 不可
  • コンテキスト情報: なし
select
select イベントはユーザーがテキストフィールドから何らかのテキストを選択したときに発生する。 このイベントはINPUTあるいはTEXTAREAのエレメントについて有効である。
  • 送出: あり
  • キャンセル: 不可
  • コンテキスト情報: なし
change
change イベントはコントロールが入力フォーカスを喪失し、その値がフォーカス取得時から変更されている場合に発生する。 このイベントはINPUT、SELECT、TEXTAREAエレメントについて有効である。
  • 送出: あり
  • キャンセル: 不可
  • コンテキスト情報: なし
submit
submit イベントはフォームが送信されたときに発生する。 このイベントはFORMエレメントについてのみ適用される。
  • 送出: あり
  • キャンセル: 可
  • コンテキスト情報: なし
reset
reset イベントはフォームがリセットされたときに発生する。 このイベントはFORMエレメントについてのみ適用される。
  • 送出: あり
  • キャンセル: 不可
  • コンテキスト情報: なし
focus
focus イベントは、経由したのがポインティングデバイスであるか、タブ操作であるかを問わず、エレメントがフォーカスを受け取ったときに発生する。 このイベントは以下のエレメントについて有効である: LABEL, INPUT, SELECT, TEXTAREA,BUTTON
  • 送出: なし
  • キャンセル: 不可
  • コンテキスト情報: なし
blur
focus イベントは、経由したのがポインティングデバイスであるか、タブ操作であるかを問わず、エレメントからフォーカスが消失したときに発生する。 このイベントは以下のエレメントについて有効である: LABEL, INPUT, SELECT, TEXTAREA,BUTTON
  • 送出: なし
  • キャンセル: 不可
  • コンテキスト情報: なし
resize
resize イベントはドキュメントビューがリサイズされた場合に発生する。
  • 送出: あり
  • キャンセル: 不可
  • コンテキスト情報: なし
scroll
scroll イベントはドキュメントビューがスクロールされた場合に発生する。
  • 送出: あり
  • キャンセル: 不可
  • コンテキスト情報: なし

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この翻訳はW3Cの正式な仕様ではありえません。
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