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この章ではSubversionの概要を説明します。 バージョン管理システムの利用が初めての人は、必ずこの章を読んでください。 一般的なバージョン管理の概念から始めて、Subversionの背後にあるアイディア を説明し、Subversionの使い方の簡単な例をお見せします。
この章の例では複数のプログラムソースコードの共有を扱いますが、Subversion はどのようなファイルの集まりも管理できることに注意してください— コンピュータプログラマだけを助けるものではないのです。
Subversion は共有情報の一元管理システムです。最も重要なのは リポジトリと呼ばれる、データの格納庫 です。リポジトリは情報をファイルシステムツリー —一般的なファイルとディレクトリの階層構造—の形で格納します。 任意の数のクライアントがリポジトリにアクセスし このようなファイルの読み書きをします。データを書き込むことでクライアントは 他の人たちがその情報を使えるようにします。データを読み出すことでクライアントは 他の人たちの情報を受け取ります。図2.1「典型的なクライアント/サーバシステム」はこれ を表したものです。
どうしてこんなことが興味深いのか? ここまでのところでは、典型的なファイルサーバの 定義にすぎないように思います。そして実際、リポジトリはファイルサーバの 一種です。が、普通言うようなものとは少し 違います。Subversionのリポジトリの特徴はそれまで書き込まれた すべての修正をすべて憶えているところ です。すべてのファイル変更についても、また、ディレクトリツリーの自身の変更に ついてもそうです。このような変更は、ファイルやディレクトリの追加、削除、 再配置、などによって起こります。
クライアントがリポジトリからデータを読み出すときには、普通はファイルシステム ツリーの最後のバージョンだけが見えます。が、ファイルシステムの 以前の状態も閲覧することができます。 たとえばクライアントは、 「先週の水曜日にこのディレクトリにはどのファイルがあったの?」、とか 「最後にこのファイルを変更したのは誰で、その人は何を変更したの?」 といった履歴に関する質問をすることができます。 この手の質問はすべてのバージョン管理システム のキモになるような質問です。つまりバージョン管理システムとは時間と共に 修正されるデータを記録したり、修正内容を追跡したりするようにデザイン されています。