特殊なリビジョンと状態遷移

GNU arch で通常利用されるリビジョンは base-0 か patcn-n とい う形のものだ。ここで n は 1 以上の整数。しかしこのほかにも version-0 と versionfix-n という形のリビジョンが存在する。この二つ のリビジョンは tla commit コマンドで --seal と --fix オプションを 使うと生成される。これらの関係を状態遷移の形で示すと以下のようにな る。

図 A.1. コミットのオプションと状態遷移

コミットのオプションと状態遷移

これらの特殊リビジョンを過去の遺物と考え、利用を勧めない人も 多い。私もその一人である。が、疑問を一つでも抱えると先に進むことの できないタイプの人間も多い[18]。そして私はこちらにも属する。そんなわけで説明し た。「それはあなたには関係ないから気にしなくていい」こういう説明は、 私は嫌いだ。歴史家や考古学者にとって、自分に関係ないことなど一つも ないのだから。

繰り返しになるが、個人的にはこれらの特殊なリビジョンの利用に は反対である。また、特殊リビジョンをこれ以外にも定義して、それを利 用した形で tla を拡張することにも反対である。われわれの生きる世界 はもう十分複雑だ。さらに複雑にする理由は何もない。過去を繰り返す必 要はない。理解するだけにしよう。



[18] 小学生のとき、引いた数が どこに行ってしまうのかがわからなくて、大学で数学基礎論を学ぶまで、 私は引き算が理解できなかった。そのことは誰にも言わないでほしい。